こんにちは土井(@takeshidoi73)です。
今回、ご紹介をきっかけに大阪市の大今里商店街の近くの一軒家で、屋根の葺き替え工事をすることになりました。
工事時期は5月でしたが、6月には梅雨入りして台風もあるので、早めに工事を完了させておきたいということもありました。
お客様の要望は
- 屋根を軽くしたい(耐震性を上げるため)
- 雨漏れしている屋根を直したい
- 家の屋根の耐久性が気になる
といった悩みを抱えており、今回屋根のリフォームが得意な土井工務店が屋根の葺き替え工事をすることになりました。
奥側の本宅が特に劣化がひどく、寄棟の屋根と切妻の屋根が一つの屋根になっている特殊な屋根になります。
瓦の屋根に多い水漏れの原因は、棟の漆喰からというパターンが多いのですが今回の場合はそもそもの屋根が劣化して歩くだけで割れてしまうような瓦の屋根になっていたので、重さはあるが長寿命の和瓦でも今回は補修の使用がない状態でした。
なぜこのような屋根になったのか?という点、今回の工事内容や屋根の葺き替えの工事についてご紹介したいと思います。
雨漏れしている屋根と歩くだけで割れる瓦

今回工事する屋根は築年数も古い瓦のため、再利用は不可のような状態で、歩くとすでに割れてしまうような状態でした。
また、写真から分かるように何度も一部補修している様子が見られ、瓦の色の変色している部分と新しい和瓦が差し込んでいる部分が見られます。
現状、家の中でも雨漏れもしているような状態であったため、屋根を軽くするために屋根を軽量化できるガルバリウム鋼板の屋根にしたいという要望でした。
余談ですが、ガルバリウムの屋根は軽量であるため、耐震性の向上にも繋がりますので、個人的にも屋根の葺き替えの際はカラーベストや瓦ではなく、ガルバリウム鋼板の屋根を推奨しています。
増築された屋根(切妻)と寄棟の屋根

今回工事の難易度を上げたのが、この谷の部分です。
この谷では寄棟の部分が手前の増築されている切妻の屋根に向かって流れる部分があるため、死に谷となっています。
そのため、この部分の手を抜いては何度も雨漏れを起こしてしまう屋根の構造になってしまいます。
増築された屋根と、既存の屋根の境目の箇所によくあるパターンではありますが、費用が上がる原因になり、全て現場の加工になるため、技術と手間がかかる作業になりがちです。
また、この立ち上がっている部分も板金のため、この箇所も水が回って雨漏れの原因になるので、立ち上がり部分の中谷も手は抜けません。
今回の工事は非常に難易度の高い屋根のリフォーム工事になりました。
今回、使用するメーカー「福泉工業シルキーG2」
今回工事に使用したガルバリウム鋼板は、福泉工業株式会社のシルキーG2を使用しました。
色はグリーンでお客様の要望から和風建築の多い、大今里の地域にあったような色にしたいということで今回のグリーン色を使いました。
色は全5色(ブラック、ダークブラウン、グリーン、ワインレッド、ギングロ)とあります。
また、福泉工業のガルバリウム鋼板は公式ホームページから抜粋した内容によると、遮熱性、軽量性、耐候性に優れており、裏面にはウレタンフォーム+アルミライナー紙が貼っているため、断熱性も強化しており、裏面に貼ることにより、金属屋根の弱点でもある防音性を向上させています。
実際問題、ガルバリウムの弱点である雨音や屋根の音を少し軽減させているようです。
また、シルキーG2の表面には、ポリエステル樹脂塗装を焼付塗装しているので遮熱効果をさらに向上させています。
瓦屋根の葺き替え手順
瓦屋根の葺き替え手順は次の通りです。
- 瓦のめくり、撤去、土のおろし
- 大工工事 木下地
- 防水用のシート(ルーフィング)
- 谷板金の加工
- 福泉工業シルキーG2の施工
- 雨仕舞い コーキング
これらの手順について詳しく見ていきましょう。
瓦と土のめくり撤去、土の下ろし

既存の瓦をめくり、下ろしていく作業になります。
この際に既存の土を全て取るため、非常に重労働になり、瓦と土を合わせて何100キロになるか分からないほど、屋根の重さが減少されます。
実際に今回の施工の様子ですが、瓦をめくった際には雨漏れの後の水道が何箇所もあったので、屋根の葺き替えを選択して間違いなかったと思います。
屋根の葺き替え 大工工事

メインの屋根材を張るために、既存の下地を新しく作り直します。
既存の屋根では新しいガルバリウムを固定、防水のためのアスファルトルーフィングを張れないため、新しく木下地を作ることを始めています。
新しく垂木を新設して、コンパネを貼っている様子と棟の貫板も新設しております。
昔の施工はこの貫板には、釘で止めておりましたが今ではほとんどの施工がパッキン付きのビスになっています。
そして、この仕上がったコンパネの上からルーフィングを貼っていきます。
防水のための改質アスファルトルーフィング

今回費用を抑えるために、普通のルーフィングでいく案もありましたが、僕自身が中途半端な工事をすることが嫌だということもあり、屋根の防水シートは強度の高い改質アスファルトルーフィングを使用しました。
一部をタッカーで止めて、打ちすぎないようにして屋根に水漏れすることを防いでいます。
余談ですが、この際にこれでもかというほどタッカーを打つ職人もいますが、ルーフィングが破れてしまうため個人的には推奨しません。
谷板金と立ち上がりの板金の加工

今回、難易度が上がったのはこの谷の加工でした。
黒く写っているのが今回新設した谷板金と立ち上がりの部分になります。
寄棟や変形の屋根では谷の部分から雨漏れが多いので、雨漏れしないように谷板金の加工には非常に気を使います。
谷の長さや加工した時の立ち上がり、雨仕舞いまで屋根は雨漏れにつながる原因になるので、気をつけるべきポイントになります。
棟の雨仕舞い

屋根の工事の最後には、棟の部分や谷の板金部分の切り面や接合部は雨仕舞いをします。
これはコーキングの黒を使用している様子です。
もちろん塗って終わりではなく、マスキングテープを貼った上でコーキングを抑える必要があります。
このコーキング作業は今回、屋根ですが基本的に屋根以外にも外壁や水回りでもあるので、その際は使う材料も異なります。
完成:福泉工業シルキーG2 グリーンの屋根

福泉工業シルキーG2の施工完了の写真です。
工事完了後は、屋根の上を清掃して写真をとってコーキングの雨仕舞いができていない部分がないか?
施工不良はないか?確認しての終了となります。
今回は東成区の今里の方での工事になりましたが、この辺りは道が狭いため搬入が非常に難しい現場でした。
また、工事自体も近隣との距離も近く近隣の方々のご理解がとても重要となる現場でした。
皆様のご理解に本当に感謝しております。
また、今回工事をして感じたのは、ますますリフォームの技術の向上と、材料の質を下げない必要性を感じました。
工事原価を下げ、簡単な工事で済ませれば工事は簡単なのですが、それでは結果的に信用を失うことになりますので、その点も踏まえてお客様にご理解してもらう必要性を感じました。
今後とも技術の向上と、新たな知識は随時、勉強しなければいけませんね。
それでは、最後になりましたが皆様が少しでも素敵な時間をお家で過ごせるよう願っております。
何か質問や相談等があれば、費用等はいただいておりませんので、気軽にご連絡ください。
それでは時間を大切に良い一日を。
土井工務店 代表 土井健史