【職人目線】台風による被害が起きやすいお家と注意点

職人目線】台風による被害が起きやすいお家と注意点

大阪市都島区にある土井工務店代表の土井(@takeshidoi73)です。
住宅と店舗に特化してリフォーム/リノベーション専門店と土地建物買取再生の会社を経営しております。

この記事を書こうと思ったのが、2018年に大阪を襲った台風を思い出してその時と同じくらい最大風速が強いと言われてる今回の台風10号(サンサン)という可愛い名前の台風によって、当社に都島区周辺のお家から台風に備えた養生、工事、対策をしてほしいという相談が増えたので書こうと思いました。

基本的に台風の被害が大きいお家は次の3つです。

  1. 屋根:古いお家の瓦、スレート
  2. 外壁:タイル
  3. 外壁:クラックの多い外壁、コーキングの切れた外壁
  4. 台風による樋の破損
  5. 台風による波板の破損

この被害を抑えることが台風の災害に備えることにつながります。
では実際に台風に多い被害についてお話しましょう。

目次

台風の被害が起きやすい家3選

台風の被害がある屋根
台風の被害がある屋根

実際に台風が起きると、古いお家では屋根の重みや耐久性がなくなっていることなどが原因によって、強い風や雨によって瓦が飛んでしまうケースが多々あります。
特に多いのは、今の和瓦は法律によりビスで固定されていますが、古い瓦を使った旧建築基準法の時代のお家では番線で固定されているため、錆びて番線で止まっていないため、瓦が飛ぶケースがあり、他にもはアンテナも番線で固定されているケースがあるので一概にこれが正しいとは言えない状態の屋根がほとんどになっています。

では実際にどのような屋根に台風の被害が多いのでしょうか?

①屋根:古いお家の瓦、スレート

スレートの割れと台風

僕が職人をしていて一番多いのが、このスレートの瓦が割れて飛んだケースが非常に多く感じます。
スレートの耐久年数は30年前後と言われているので、年数が経つと表面が乾燥して塗膜がなくなり割れやすくなっています。
写真のスレートはまだ綺麗な方なのですが、ひどいスレートのシングルベストであれば歩くだけで割れるケースやコーキングだらけの屋根などは普通にあります。

ちなみに写真のスレートの瓦も割れてずれていますし、どうしても強い雨風によってスレートは飛びやすく割れやすい屋根にはなります。

②外壁:タイル

今回都島区や城東区で相談が多かったのが、台風や強風で飛びそうなタイルをどうにかしてほしいという相談でした。
タイルのお家の人によくありがちなのが、 タイルのお家の人は30年近くお家をリフォームしなくても漏れないし、色も変色しないので分からないというお家が多いんですね。

外壁塗装が必要なモルタルの家では10年に一度のペースでメンテナンスが必要なんですけど、このタイルのお家は10年前後で一気に悪化が始まって、外壁タイルの目地の隙間から水が回って下地の木材を腐らせて結局雨漏れや水漏れをして、最終的にタイルが落ちるというパターンがほとんどです。

そのため、直すとなるとタイルを全て解体し、木下地から直してリフォーム(モルタルして塗装、サイディング)するパターンと上からカチオンを塗って左官するパターンなど、様々な直し方があります。
どちらにせよ、解体が必須なので下地から直すとなると高額になりやすい工事にはなりますね。

③外壁:クラックの多い外壁、腐った壁、コーキングの切れた外壁

基本的に外壁はクラックの入った状態で長年放置していると水が回って下地が腐り、外壁が剥がれ落ちたり、強風が吹いた時には飛んだりする危険があります。

そのため、台風に備えて割れている箇所をコーキングで塞いだり、Kモルで下地補修をしたりしてその上から塗装などをすることによって始めて良い工事と言えます。
実際は簡単な補修だけで済ませれると思い、DIYをする人も増えていますが、僕ら業者から見たら杜撰なものが多く、誤った材料を使っている可能性も高いので、あまり良い工事とは言えないというケースも増えているので一概に良いとは言えませんね!

あわせて読みたい
【職人の声】素人のDIY失敗を直す工事が一番大変でお金が掛かる 工事をしていると、工事をしていると少しでも工事の費用を抑えるために、よく分からないDIYをしているお客さんがおり、DIYをした結果が結果的に工事費用を高くなっているのはご存知でしょうか?

参考までにDIYの怖さについて書いた記事になりますので、一読してください。

4台風による樋の破損

先日、大阪市旭区で行った雨樋の補修工事になります。
これも強い強風の影響でジョイントのカバーが割れてしまいました。
台風の日にはこういったトラブルが起きがちですが、このお家もやはり30年以上お家のメンテナンスをしていないお家だったので、雨樋一つですが、場所によっては足場が必要になるケースも少なくはありません。

高額な工事になる可能性を秘めた箇所になるので注意してください。

5台風による波板の破損

台風による波板の破損

写真では破損していないように見えますが、手前部分を見てわかるようにかなり劣化と汚れが進んでいる波板になります。
また、この波板には割れや波板用の留め具がはまっていない箇所がたくさんあり、実際に強い風が吹くと大きな音が鳴って動いてしまうような状態でした。

もしこれが台風となると波板がよく飛ぶとなるケースが多いので注意しなくてはならない箇所になります。

家の破損によるリスク3選

家の破損裏によるリスク
家の破損裏によるリスク

お家は破損やトラブルが起きてしまうと、何らかしらの問題によって二次災害が起きます。
特に台風では、自分だけでなく他者にも迷惑をかける危険性も高く近隣トラブルの原因にもなりやすい自然災害の一つです。

では、実際に台風の被害によってどのようなトラブルがあるか詳しく解説しましょう。

①家の雨漏れ

まず一番多いのが、強い風や強風が吹いた時に雨漏れをするという相談です。
これが一番見分けがつきにくいのです。
実際に今まで相談のあった雨漏れのケースを下記に記載しました。

  • 板金の笠置から漏れるケース
  • ベランダから雨漏れするケース
  • 隣地との距離が狭い外壁から漏れるケース
  • 冊子周りから雨漏れするケース
  • 外壁のクラックから雨漏れ
  • 屋根からの雨漏れ
  • エアコンのドレン逆勾配からの雨漏れ
  • 板金の隙間からの雨漏れ
  • 谷板金の劣化による雨漏れ
  • タイルの目地からの雨漏れ
  • 屋根の構造による雨漏れ

雨漏れにはさまざまな原因があるため、一概にこれが悪いとは家によって違いますが、台風によって破損した家はこのような原因が起こりやすいため、最低限10年に一度はマンションのようにメンテナンスを行い、無駄なお金がかからないようにだけはしておきましょう。

②所有者責任※民法717条

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。※民法717条

もっとも、損害の原因について他にその責任を負う者がいるときは、所有者又は占有者は、その者に対して求償権を行使することができます。

また、効果には損害賠償責任があります。

占有者または所有者が損害賠償責任を負う。損害賠償の範囲については第709条を参照。
また、被害者の過失が加わって損害が生じた場合、過失相殺(第722条第2項)の適用もある。

また、因果関係には気をつけるべき点があります。

前提として、瑕疵と損害の間に事実的因果関係があることを必要とする。
瑕疵がなくても損害が生じていた場合には因果関係は否定される。
瑕疵と不可抗力(地震など)が統合して損害をもたらした場合には相当因果関係の問題になる。

瑕疵がなくても損害が生じていた場合には=家を直していない、悪い状態で放置している
ということにも捉えられます。

所有者責任は賃貸の人にも関連しますので、ベランダや外にものがある人も見ておきましょう。

免責事由

占有者は、「損害の発生を防止するのに必要な注意をしたとき」には賠償責任を免れる。
「必要な注意」をしたことの立証責任は占有者にある。
つまり中間責任が定められている。

所有者占有者が責任を免れた場合には、所有者が賠償責任を負う。
この賠償責任には免責事由がない。つまり無過失責任が定められている。

免責事由にも書いている通り、賃貸でも借りている人が注意をしていた場合、大家さんに責任が及ぶ可能性が非常に高いので、賃貸オーナーさんは特に管理を自分でしているような人は注意を十分にしましょう。

※上記文章はWikipediaからの抜粋のため、僕が書いているのではないですので、僕にいっても責任は取れませんので、その点はご理解ください。

③近隣トラブル

上記のように家に住んでいる以上何らかしらの責任を負います。
そのため、台風や強風の日には家に住んでいる限り全てにおいて注意することは義務なので、それだけは忘れないようにしなければなりません。

また、その義務を怠ったお家によくあるのが家のものも一部が強風によって飛んで隣のお家の車を傷つけた、隣のお家の外壁を壊した、通行人に怪我をさせたというのはよくある話です。

その場合、民事訴訟の裁判になる可能性もあるので十分に対策と注意を行いましょう。

DIYでもできる台風に向けての備え 

台風透湿シート

今回、すでに水漏れとタイルが飛んでいるお家にしたことは、外壁の防水シートにもなる透湿防水シートをタイル面に貼っていました。
この透湿シートが飛ばないようにブチルテープという強力な防水テープで接着させて、水漏れが起きないように対策をし雨漏れが起きないようにしているようです。

ちなみにこのブチルテープは粘着性の高い防水テープになるので、タイル面に糊跡が残り安いため必ずタイルを解体する前提の場所に使いましょう・

ちなみにこれらはご自身でコーナンでも買うことはできますので、今後試してみてください。

台風の被害で火災保険を使ってリフォームする場合

台風の被害が落ち着くと必ず問い合わせが来るのが、火災保険のリフォーム工事です。
この際に勘違いをして、経年劣化や悪質なことを言ってリフォームをする業者も増加して、お客さんも勘違いをしてリフォーム工事を考えるという人もたくさんいます。

そんな人のために損保メインの保険の代理店の役員さんと撮った動画です。
台風による火災保険の申請に役立つと思うので、ご覧ください。

あわせて読みたい
火災保険を使ってリフォームすることは正しいことなのか? こんにちは土井(@takeshidoi73)です。最近、大阪市の都島区、旭区、城東区で水漏れや雨漏れが多く火災保険を使って破損部をリフォームしたい!というお問い合わせが土井...

工事中に台風が来た場合は前もって”台風養生”をする

また、台風の際に足場を組んで工事している家の足場は基本的に台風養生をする必要があります。
それは、風の抵抗を流すために足場のメッシュシートを畳むことになります。
しかし、写真を見てわかるように台風養生をしていない会社もありますので、こういった業者が時々います。

ちなみにこれはアパートの写真ですが、アパートのオーナーさんは管理会社に丸投げしているので、管理会社も工務店に丸投げしているので工事自体を理解していない会社が多く、結果的に工事をしない業者に管理を任せているの杜撰な工事になってしまう可能性が高く、結果的に質の低いような内容になってしまう可能性が非常にあります。

災害後は悪質な工事業者が増える

阪神淡路大震災の後は、塗装屋が屋根の工事をしていたり、メチャクチャな悪質な業者が増えました。
その理由は職人不足な上に家の再建だけでなく公共施設も再建する必要があるので、職人の需要が以上なほど高くなります。

そして、その当時に比べ今はさらに職人不足の時代なので本職ではない職人や、偽物のアルバイトみたいな従業員を抱えた会社によって工事をされめちゃくちゃな手抜き工事の家が出来上がるというのはよくある話です。

あわせて読みたい
【工務店が解説】工事が下手な業者と手抜き工事が起きる理由 近年、手抜き工事や違法建築が注目されるのと同時に当たり前のように現場では多少の手抜き工事や、コスト削減が行われている令和時代。

手抜き工事をされないためにも一度は読んでおいてください。

締め:台風の時期はどこの工事業者も忙しい

当社は大阪市都島区にある工事会社ですが、この台風の時期というのはどうしても忙しくなります。
また、工事を優先する家もどうしても知っているお家やあらかじめ相談を受けていたお家から直すことになりますので、初めましての一見のお客さんを優先して対応することが難しいのが今の現状です。

また、今は職人不足の時代ですので丁寧に工事ができる工事業者は単価を落とさなくても、相見積もりなどを受けなくても山のように工事があるような状態です。
そんな中、人口の多い大阪ではなかなか対応するのも難しくなっています。
関西の地域はもちろん、さまざまな地域で工事をする当社、土井工務店は今後もお客さんに正しいお家の知識をお伝えできたらなと思います。

この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。
それでは、皆様が少しでも素敵な時間をお家で過ごせるよう願っております。
質問や相談等があれば、記事を読んでくれた方に費用等はいただいておりませんので、気軽にご連絡ください。
それでは時間を大切に良い一日を。

土井工務店 代表 土井健史

無料相談/お問い合わせはこちら

無料相談/お問い合わせ

 

職人目線】台風による被害が起きやすいお家と注意点

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

参考になった方はシェア宜しくお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次