近年、手抜き工事や違法建築が注目されるのと同時に当たり前のように現場では多少の手抜き工事や、コスト削減が行われている令和時代。
元請・下請けという仕組みによって、工事する会社と営業をする会社に分かれているのが今の建築業界。
その中で元請として存在するが、建築を全く理解していないブローカーが増え、低品質なリフォーム工事が増加しております。
そんな中、お客様にとって何が正解なのか?と考える日々ではありますが、結論から言うと
自社で工事ができて、高品質な工事ができる業者を探す、最後は信用する
これが唯一の正解です。
しかし、現状では元請・下請けという仕組みによって会社が分かれているため、工事業者を見つけることができずに営業会社にだどりついてしまうお客さんが多いのが現状です。
私は元々工務店で修行をしてから営業マンになりたく訪問販売の営業マンになりました。
しかし、そこで見た営業とは私の憧れていた営業ではありませんでした。
- 下請けの施工見積もりをいかに安くするか
- 営業マンの裏金
- 現場のできない営業による点検商法
- 電力会社の名前を使った電話営業(テレアポ)
- お客様が満足すれば、基本的にどのような工事でも良い
まるでブローカーのような営業をする日々で、建設業としての技術や誇りといったものはなく、私は半年で会社を退社し、自分の建設業としての尊厳を取り戻すべく現場の職人として個人事業主として開業いたしました。
そして、様々な人の支えもあって小さいながらも2022年に会社を設立いたしました。
現在の状況では、お客様にとって業者選びは基本的に分からない。
全ての業者が初めての状態であるため、インターネットや業者斡旋のサービスや広告で探し、相見積もりをして、最後は信じるしかない!といった状況ではないでしょうか?
こういったお客様の現状を知った上で、代表である土井健史は下記のお題で”リフォームの手抜き工事がなぜ起こるのか?”といったことについて紐解いていきましょう。
手抜き工事をするリフォーム業者の特徴
手抜き工事をする業者の特徴は基本的に見た目では分かりません。
ただ、一つ言えることは工事業者の多くは職人であったり、最初は下請けから始まっています。
その中で、どこで工事をしていたか?というのがとても重要になります。
私のように最初から元請で、大工の、設備・電気の師匠がゼネコン上がりのというのは珍しいパターンで、ほとんどの職人は個人の職人の従業員、工務店の従業員であるパターンが多い。
その中で工務店や親方がどこの工事をしていたか?というのが非常に重要です。
例えば、私の師匠は○水ハウスの下請けの工務店にいた経験、公共事業、お寺の修繕をした経験があり、技術や工事には厳しく昔ながらの細かい人です。
しかし、その反対で全ての業者とは言いませんが下記の経験しかない業者はあまり工事に細かさはない印象です。
- ブローカーの下請け工事の経験のみ
- 不動産屋の下請け工事の経験のみ
- 訪問販売の下請け工事の経験のみ
上記の業者でもいい工事をする会社はもちろんありますが、確率の問題で言うと上記の会社の方が手抜き工事は起きやすいです。
ただ、大手企業やブローカーなど関係なく、両方の会社に共通して言える問題があります。
それは下記の通り。
手抜き工事濃厚!安すぎる見積もりには気をつけろ
工事は手を抜こうと思えば、いくらでも手を抜ける、それでも丁寧にするのが仕事や
私が師匠に教えられたことです。
具体的になぜ手を抜くのか?と言うことについて回答したいと思います。
手を抜く主な理由は
- 見積もり金額が安い
- 工期が短い
- シンプルに工事が下手
誰しもが共通して言えることは損をしたくないんですね。
また、が短すぎると工事が雑になることも工事業者あるあるといっても過言ではありません。
工事がシンプルに下手な場合はどうしようもないでしょう。
リフォーム工事は現場合わせの場合が多いので、どうしても難しくなりがちなんですよね。
ちなみに工事業者が損をしない工事の方法があります。
材料を安くして、ランクを下げる、使ってはいけない箇所に違う材料を使う
安い材料を使って経費を抑えるなんてのは工事をしていれば当たり前のように起きます。
下記の写真をみてください。

この写真では下地に使う木が湾曲しているのがお分かりでしょうか?
木材も材木屋で買うのと、○ーナンで買うのではまるで質が違うし、○ーナンで買うのは材木屋さんで買うより、1割ほど安いんですね。
お客様都合で使用する場合はありますが、僕たちは基本的に好んで使うことはしません。
ちなみに一番安く仕上げる方法は”使ってはいけない箇所に違う材料”これが一番安く原価を抑えられます。
例を挙げると、コンパネ12mm(2500円)を貼らないといけないところに9mmを貼ったり、5.5mmを貼るような業者もいます。
500円以上違うので、数を重ねると大きくなりますし、まして石膏ボードであれば500円ですので20枚にもなれば、40000円ほど変わります。
また、ビスの量が明らかに少なくすることで材料費を浮かすことが出来ますし、CFやクロスといった化粧面を貼れば何も分からないと言う業者も多いんですね。
安くしようと思えば、いくらでも安くできるということは”手抜き工事をする前提になる”ということだけは知っておきましょう。
ブローカーや営業会社の特徴
ブローカーや営業会社は基本的に僕ら現場を経験した人間であればすぐ分かります。
家を見に来た時に”これもダメ、あれもダメ、全て変えよう”という業者はまさに素人の営業会社やブローカーが多いのが特徴です。
リフォームの根本的な考え方は使えるところは使って、補強して綺麗にするのがリフォームです。
全て変えろというのはどうかと個人的には思います。
- どのような工事ができますか?
-
弊社は何でもできます
そんなわけがないんですよね。
これは大手企業や職人の数が多い工務店でない限りありえないことです。
こういう会社に従業員数を聞くと、明らかに少なかったりするので、基本的に職人は他能工でない限り全てできるといった発言はしないんですよ。
例えばですが、弊社であれば、足場は絶対に外注しています。
できないことはできない!とはっきり言えない業者は基本的に私は信用できないです。
お客様が原因で起こる手抜き工事3選
手抜き工事は必ずしも工事業者がしていますが、外的要因は業者だけでは無いんですね。
その一例を下記の3つにまとめました。
心が痛いお客様もおられるかもしれませんが、勉強と思って見ていただけたら幸いです。
1.愚の骨頂【繰り返す相見積もり】
最近、よくSNSや動画でよく見られる言葉”相見積もり”をたくさん取りましょう。
これには大きなデメリットがあります。
私が序盤で書いた言葉を思い出してください。
材料を安くして、ランクを下げる、使ってはいけない箇所に違う材料を使う
この方法を使えば、他社より安い工事をするのはめちゃくちゃ簡単なんです。
Aの業者が1,500,000円だったとB社に持っていき、B社が1,480,000円になったとしましょう。
その後、A社が1,400,000円にしました。
その後、またB社もしくはC社に見積もりを持っていき1,350,000円になったとしましょう、
この時点で普通に工事をすれば、人件費と材料代で赤字になる可能性があるとすれば、工事業者は何をすれば利益が残るか考えなくても分かります。
これが結果的に工事の品質を落とし、手抜き工事の要員になっている一つです。
結果的にいうと、自社で工事ができる業者に任せ、信用するしか方法はないんですね。
また、高品質な工事をする会社は安すぎる工事は基本的に受けてくれませんし、手抜き工事をしてまで利益を残さなくても仕事に困っていませんし、そのようなことをすれば誇りを持った職人が仕事をしなくなります。
ちなみに弊社では、弊社の見積もりに対して他社の方の見積もりを持って来られた方には先方の会社でお願いするように勧めています。
弊社もまた弊社の”本当に良いものを作る”といった信念を曲げてまで工事をしたいとは思いません。
2.工事の後出しプラン変更で別の業者を加える
時々あるのが、後出しで工事のプランを大きく変更すること。
基本的にこのプラン変更をした場合は工程表が変更されるため、工期が伸びて追加料金が基本的に発生しやすいです。
この際に時々、会社とお客様が揉めます。
当然お金のことで揉めることが多く、私の知人では追加工事に相見積もりをかけられ、安すぎたため他業者で工事をすればいいと促した結果、一つの現場に複数の工務店が入る大変な現場になったということでした。
結局は一つの小さな現場に複数の工務店が入ることによって不備が発生し、”この工事は弊社とは関係が無い”といって、工務店間で責任を押し付け合い、責任は取らない、保証が無くなる、といった本末転倒な工事になったようです。
そして、結果的に良いものを作るために作っていたものを強引に変更し、他社が入ったため工事の引き継ぎや連携が上手くいかず結果的に後期だけが伸びて費用が多くかかったようでした。
ちなみになのですが、公共現場などでは複数の施工会社が集まるのですが、それは大きな大手企業が元請として、常駐で現場監督(施工管理)を派遣して厳しい施工基準を守らせて管理しているからです。
これらを一般のお客様がするのは不可能でしょう。
3.業者斡旋サービスは結果的に工事金額が高くなる
業者斡旋サービスの相見積もりサイトで有名なサービスには下記の3つなどが有名です。
- ○uumoカウンター
- ○格.com
- ○ームプロ
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
基本的にこれらのサービスはお客様は無料で利用することができ、○uumoカウンターなどは某ショッピングモールにもあります。
これらの会社は本当にいい会社だと思います。
ただ、皆さんはお気づきでしょうか?
お客様は無料ですが、広告料または紹介料として工事業者が支払います。
下記の図を参考にしてください

料金は契約したお客様との契約金額から5%から6%もの手数料を支払います。
ということは結果的に業者は料金を%で支払うため、契約金額が500万円の工事であれば、25万+税=275,000円支払う必要があります。
結果的に負担するのはお客さんというのは知ってましたか?
また、大手の下請け工事でもなく、建築確認等も自社なので基準はないので嫌な言い方をすれば、材料や原価を抑えようと思えば抑えれるのです。
また、お客様宅に相見積もり前提で営業に行くのも、入札制という部分がサービスであるため、ブローカーのような会社も存在します。
ちなみにですが、本当に良い工事をする会社はこのようなサービスを使わなくても元請から依頼が止まらないのが建設業界です。
全ての業者が悪い業者だとは言いませんが、ブローカーのような会社も参戦できるということを忘れないでください。
王手ハウスメーカーの工事金額が高い理由
王手ハウスメーカーの工事金額が高い理由は主に3つあります。
- 会社規模による人件費
- 補償の手厚さと信頼
- 下請けに工事はさせるため
高い=悪いというわけでなく、基本的に大手企業は保証や信頼がありますので、銀行にとっても住宅ローンとリフォームをする際に貸しやすい企業なのです。
ちなみに個人事業主の工務店に住宅ローンの際に、リフォームを加えて見積もりを出しても審査が難しくなることが多いので、必ずしも安い=正義、良い、というわけでは無いのです。
また、大手企業では独自の施工基準がありますので、建築確認が厳しいのが特徴ですので、その点では良い加減な会社に比べて手抜き工事は少ないのかもしれません。
結論、大手企業の工事は下請けの工事業者の技術によって左右されますが、基本的に中間検査や工事完了の際など建築確認が厳しいのであからさまな手抜き工事は見つかりにくいです。
全てが良い工事とは言いきりませんが、個人事業主の職人の見積もりから、約3倍ほど高い工事金額が必要なだけありますね。
小さな会社に工事を依頼するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
工事金額が安い | 信頼性に欠ける |
小さなお願いなど融通が利く | 大きな工事は着手金、中間金が必要な場合がある |
対応のスピードが早い | 職人感が強い |
工事後も何かあればすぐに来てくれる | 保証が無い会社がある |
実際に私は創業して間もない小さな会社ですが、営業会社にいた時は本当に自社で何も工事ができないのでスピード感がないことに驚きました。
クレームなども対応に1週間以上かかるのは当たり前で、10年施工保証をしているのにも関わらず、簡単に工事業者を走らせてはいけないような風潮がありました。
私が所属していた営業会社は訪問販売がメインなので、大手企業の対応と同じにはできませんが保障のために工事業者を動かしてもお金にならないといった考え方なのでしょう。
また、私がお世話になっている方も建売の新築を4500万円もの大金を払って建てたのにも関わらず、後日不備が見つかりました。
そして、10年間の保証期間であったのにも関わらず対応するまで1ヶ月以上かかり、対応は15分で終わったようです。
締め
確実な正解というものは結果でしか分かりません。
関西のお家や東海地方であれば私も手助けすることができたかも知れませんが、全ての人を救うのは難しい状況です。
業者選びは最終的にこれしかありません。
自社で工事ができて、高品質な工事ができる業者を探す、最後は信用する
冒頭で述べた通り、これが私の出した答えがこれです。
そして、私もこの業界の人間として更なる技術の向上と、初心の気持ち”本当に良いものを作る”という気持ちを忘れずに関西を中心とした戸建・マンション・店舗のリフォーム工事を続けていく所存です。
当社では、リフォーム工事/リノベーション工事に特化して工事業者の工務店として日々工事を行なっていますので、質問・依頼・相談等でれば、費用は一切いただいておりませんので、気軽にご連絡ください。
長い文章になりましたが、読者の皆様が良い工事業者と出会えることを心よりお祈り申し上げます。
最後になりましたが、私を信頼し工事を任せていただいたお客様、協力してくれる職人の方々、使用やスタッフに平素より格別のご支援ならびにご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
土井工務店 代表 土井健史