【施工事例】アスベスト入りのスレートをガルバリウム鋼板にリフォーム

大阪市都島区にある土井工務店代表の土井(@takeshidoi73)です。
住宅と店舗に特化してリフォーム/リノベーション専門店を経営しております。

先日リフォーム工事をしたお家の紹介ですが、大阪市都島区のお家がスレート屋根(カラーベスト)と呼ばれる屋根で、アスベストの入っている屋根でした。

このアスベストという繊維が非常に人体に有害で、現在の建築材料ではこの繊維が含まれている材料は禁止されているのですが、約30年前の1990年代や昭和以前の建物の屋根材であるスレート(カラーベスト)には普通にアスベストの入った屋根材が使用されています。

そのため、屋根の葺き替えするリフォームやリノベーションには当たり前のようにアスベストの入った屋根はつきもので、今回のスレート屋根のアスベストが含まれている量は10%から20%の間と記載されていました。

ちなみに皆さんはアスベストという繊維はご存知ですか?
厚生労働省から引用したページには下記のように記載されています。

石綿(アスベスト)は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。
その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が 吸入してしまうおそれがあります。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止さ れました。
その後も、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、現在では、原則として製造等が禁止されています。
石綿は、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。

皆さんの家はどのような屋根でしょうか?
もし、スレートの屋根をリフォームする場合であれば、下記の3パターンが基本です。

  1. スレート屋根の塗装
  2. カバー工法をしてガルバリウム剛板を貼る
  3. スレートを解体して屋根の葺き替え

金額は上が一番安く(スレート屋根の塗装)、葺き替えが一番高いんですね。
今回の記事はお客様の希望でスレートの屋根を解体して、ガルバリウム剛板でリフォームをすることになったので、一番高いプランとなりました。

僕個人的には、費用も抑えられて実用性の高いカバー工法での屋根のリフォームを推奨しているのですが、まだ一般のお客さんにとって解体なしで無しで屋根を直すと言うことに抵抗があるみたいですね。
また、解体費用は抑えられるものの屋根が重くなると言うデメリットもあるので予算がある人は解体する人多いの事実ですね!
では、実際に屋根の解体及び、ガルバリウム鋼板にリフォーム工事をした施工事例と写真をもとに説明しましょう!

目次

アスベストの入った屋根を解体、リフォームする方法

今回の屋根は変形したL字型の寄棟で屋根の勾配(角度)きつかったため、立っているのもしんどいような屋根で、滑って危ないような屋根でした。

アスベストの入った屋根を解体する手順は次のとおり

1解体したスレート(カラーベスト)の破片や粉が周囲に飛ばないように対策をする
2職人たちの健康被害が起きないように安全対策をとる
3家の周囲に人がいないことを確認した後にひたすらスレートをめくっていく作業
4スレートを撤去して、屋根の木下地工事を行う
※この際に屋根の水平に狂いが無いか、前回の屋根の下地は生きているかの2点を確認する
5断熱材の施工(業者による、当社は行います)
6コンパネ貼り
7ルーフィングを貼っていく(防水シート)
8屋根材葺く(スレート、ガルバリウム等)

実際に今回工事をした手順を下記に書きました!

まずは周囲にスレートが落ちないようにコンパネ12mmで養生を行い、解体時にスレート屋根が周囲に落下して物が壊れないようにすることと、僕たち職人が落下しないようにするための対策を行いました。

その後は実際にバールといった道具を使って、ひたすらスレートをめくり続けます。
余談ですが、今はGW明けの急な猛暑であったため暑くて屋根の上に手を置くと火傷するような熱さになっていました。

実際に僕の手袋は部分が破けていたので、屋根の上は本当に危険です。
やはり屋根の上は素人の方のDIYには推奨できる物ではありませんね。

ちなみにですが、僕の足には釘が刺さっていましたw


これはスレートを止めていた釘です。

また、スレート屋根の解体の欠点はゴミが異常に多いという点と、今回のスレートにはアスベストが含まれているため、危険性が高い。
そして、ゴミが非常に多く重いので材料の運搬に時間がとてもかかります。
お金も廃棄代でびっくりするような費用が掛かります。

屋根の葺き替え木下地

僕の師匠が下地を作ったのを見て、大工の技術だなと感じたのは、棟の木下地をWに2本にしていることです。

理由を聞くと、“貫板を打って棟板金を棟に乗せてビスを打った時に1本よりも2本の方が屋根にとっては強いから”というのが理由でした。
ちなみに使う木の材料は現場によって変わりますが、新築とリフォームは違うので臨機応変に工事をしていく必要がある工事でもあります。

やはり大工というのは仕上がりを想定した上で、屋根の下地をする必要がありますので、本当に難しい仕事です。
ちなみにですが、当社では某小売店の木材を使わずに材木屋さんの等級の高い木材を使用しております。

理由は等級の低い安い材料は、木材の湾曲が大きいため品質的には安普請な家であったり、質の低いような工事は避けることができなくなるため、当社ではお客様了承のもと質の良い材料を使っており、棟板金の下に貫板を入れる際にも木材には檜を使っています。

ちなみにこの貫板がスレートの屋根ではよく腐って板金が飛ぶ原因にもなるんですよね。

アスベストの入った屋根の家に住んでいても大丈夫なのか?

石綿(アスベスト)の繊維は、肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫の原因になるといわれ、肺がんを起こす可能性があることが知られています ※WHO報告

厚生労働省から引用

(1)石綿(アスベスト)肺
肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つです。肺の線維化を起こすものとしては石綿のほか、粉じん、薬品等多くの原因があげられます が、石綿のばく露によっておきた肺線維症を特に石綿肺とよんで区別しています。職業上アスベスト粉塵を10年以上吸入した労働者に起こるといわれており、 潜伏期間は15~20年といわれております。アスベスト曝露をやめたあとでも進行することもあります。

(2)肺がん
石綿が肺がんを起こすメカニズムはまだ十分に解明されていませんが、 肺細胞に取り込まれた石綿繊維の主に物理的刺激により肺がんが発生するとされています。 また、喫煙と深い関係にあることも知られています。アスベストばく露から肺がん発症までに15~40年の潜伏期間があり、 ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。 治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあります。

(3)悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる悪性の腫瘍です。若い時期にアスベストを吸い込んだ方の ほうが悪性中皮腫になりやすいことが知られています。潜伏期間は20~50年といわれています。治療法には外科治療、抗がん剤治療、放射線治療などがあり ます。

解体工事の際は石綿作業主任者が必須の仕事

基本的にアスベストの解体工事の際には、石綿作業主任者が現場に一人監督として滞在するのが必須です。
特にアスベストの解体は屋根の粉塵などは周囲に飛び散るため、解体が終わるまではネットや天幕で覆われており、中でアスベストによう防塵の健康被害が起きないように徹底した対策が必要です。

近隣住民の方への配慮も必須なので、免許や市町村への届出は義務であり、事前の調査や届出なしで簡単に工事ができるものではありません。

アスベストが入ったスレート屋根のリフォームの金額ははっきり言って高い

今回の工事は大手企業になると、屋根だけでいうと、500万円を超えてもおかしく無いような工事であり、特に屋根の勾配が強くて上げ機(スライダー)が必須のような現場であったため膨大な費用が掛かりました。
実際の屋根の工事内容としては

  • 安全対策
  • スレート屋根の解体
  • 木下地
  • ゴミの撤去
  • 断熱工事(スタイロフォーム)
  • コンパネ貼り
  • ガルバリウム葺き替え
  • 樋の交換

アスベストのゴミを捨てるにも1立米辺り35000円から必要となると考えてもいいでしょう。
今回の屋根の場合であれば、6袋ほどのゴミが出たので250000円ほど経費や人件費を含めて掛かりました。
※これにトラックの賃料、運賃、廃棄手間賃がかかる

ちなみにガルバリウム板鋼の工事をすると、屋根の高さが少し変わるので樋の高さの位置を調整、または交換をする必要がありますので注意してください。

また、他の木材のゴミや他のスタイロなどのゴミもあるので、運搬費を含めて250,000円は最低でもゴミ台で必要になってきますし、屋根の葺き替えのゴミ代金の相場と言っても過言では無いでしょう。

もし、このゴミ代金(主にアスベスト)を買いたいくないのであれば、カバー工法でガルバリウムを貼る施工ができます。
そうすることによって、解体費、ゴミ代金、運搬費、木下地の工賃、材料費の節約になりますので、屋根の吹き替えに比べて家の大きさにもよりますが、30坪の家では200万円近く費用が変わってきます。

ちなみにカバー工法について書いた記事はこちら

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余談ですが、アスベストを屋根の上に置きっぱなしなんて、嫌だ。
屋根の上が重くなるのは嫌だという人はカバー工法自体が向いていないかもしれません。

しかし、工事業者目線で言うと屋根の上が重くなることによる耐震性への影響を気にするレベルなのか?なんて僕は正直思います。

ガルバリウムの耐用年数はメーカー保証で25年あります。

・塗膜については15年間
・赤さびについては20年間。
・穴あきについては25年間。

その25年間で大きな地震があったとしても、果たして屋根が重いからといって簡単に家が壊れるものなのでしょうか?

僕は設計士でもメーカーでも無いので、大きなことは言えませんが基本的にカバー工法という工法はリフォーム代金を抑えられてできるいい工事だと思っています。

今回工事をしたお客様に僕がお伝えしたのは、次僕がこのお家に来るとしたら10年後になる!ということでした。
理由としては、お家が10年周期で経年劣化が起きるといっても過言ではありません。

正直な話で言うと、定期的に家のメンテナンスをすることで長く住むことができるといったお家を作りたいものです。
余談ですが、マンションなどは管理組合によって10年置きに定期的にメンテナンスやリフォームを行っています。

定期的にリフォーム工事をすることは家を長持ちさせるために必須なので、読者の皆様も定期的にお家の状態を気にすることをお勧めします。

ということで屋根は葺き替える派とカバー工法派で分かれましたが、皆さんはどちらが好きですか?
僕はお家の状況と経済状況、ライフプランを勘案して判断するべき!と考えています。

実際に葺き替えてガルバリウムとなると、屋根の形や状態、築年数によって費用は変わりますが、高いのは間違いありません。
ちなみにこのお家のガルバリウムは横葺きでシルバーです。

本職の屋根やさんはやはり工事が上手い!
このガルバリウムの施工の記事はまた次の機会にしましょう。

やはり築30年となると、屋根やお家の状態によっては”葺き替えかカバー工法”となってくるのかな?なんて工事をしながら感じた次第です。
最後に、もし家の屋根の状態がきになる、自分の家も古いから一度見て欲しい、雨漏れをしている気がする、水漏れしている気がすると言った方は一度当社にご連絡ください。

それでは、皆様が少しでも素敵な時間をお家で過ごせるよう願っております。
質問や相談等があれば、記事を読んでくれた方に費用等はいただいておりませんので、気軽にご連絡ください。

それでは時間を大切に良い一日を。
土井工務店 代表 土井健史


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