【工務店レビュー】友人が借りたリノベーション物件の工事の質が酷かった

こんにちは土井(@takeshidoi73)です。

今回の記事は、友人が兵庫県の某所で賃貸契約をして、借りている家があまりにも手抜き工事が酷く、お客様にこのような物件をリノベーションという言葉を借りて使うことが許せないので、記事にすることにしました。

結論から言うと、この物件はリノベーション物件ではなく、ただの手抜き工事のリフォーム物件でした。

さて、実際になぜこのような手抜き工事の物件を友人が借りてしまったのかというと、手抜き工事の内容の原因及び、友人の物件選びのミスは次のとおり。

奥さんの親族の顔を立てるために話が遅い
奥さん側の親族の紹介物件のため、細かい契約の確認ができない

僕もいちリフォームの会社を経営している身で、将来的には不動産賃貸業をやっていきたいと思っています。
しかし、こんな物件を”リノベーション物件”と誇大広告と捉えられてもおかしくないような不動産賃貸業の業者には決してなりたく無いなと思いました。

サービスを届ける側が、細かい点にも気を使ってお客様に感謝されるような仕事をするのがプロだと僕は考えています。
ましては新婚の若い夫婦に住ませるような家ではありません。

具体的に手抜き工事があった箇所は次のとおり

  1. 天井の下地(回り打ち)が無い
  2. 排水が流れない(逆流する)
  3. 扉がきちんと閉まらずに隙間がある
  4. 建具にひび割れがあり、隙間がある
  5. 下地が突出しているため、クロスが収まらず捲れている
  6. キッチンパネルが下から上へ埋まっている
  7. 玄関は内開きのため、靴箱から靴を出せないし、外に出にくい
  8. 脱衣所やキッチンの床が沈む

恐ろしいくらいの手抜き工事でした。
僕は不動産屋さんではなく、工事業者なのでリノベーションハウスとしての広告が、手抜き工事で杜撰な性能の低い部屋だった場合、誇大広告なるかどうかは分かりませんが、工事業者目線で言うと十分ひどいかな?なんて思ってしまいます。

これらを踏まえて、なぜこのような手抜き工事が起きたのか工事の実態や今後の住んだ家庭の動向についてお話ししたいと思います。

目次

リノベーション物件の賃貸に手抜き工事が起きた理由

  1. 不動産屋(オーナー)が工務店の工事後に確認をしていない
  2. 工務店の言い分は予算が少ない
  3. 設備屋が大工仕事をしていたり、設計がそもそもできていない
  4. 工務店に工事に対する責任や誇りは無い
  5. 不動産オーナーの工事に対する知識が少ない

こういったことが原因と考えられます。
ちなみに設備屋さんは全く大工工事は基本的にできません。
僕もさまざまな現場を経験しましたが、一番難しいのは大工だと言いきれます。

では、文章だけでは分からないので、実際の写真を確認しながら工事内容を見ていきましょう。

1.天井の下地(回り打ち)が無い

まわりぶちと言って、天井の木下地や軽天下地等を天井にはぐるり一周壁際に組んでいるはずなのですが、この写真を見る限りクロスのジョイントコークを突き破って、天井材が持ち上がっているため、下地がないのがお分かりでしょうか?

この結果、この食器棚には突っ張り棒の効果は全くありませんしむしろ、ジョイントコークで隅の部分が収まっていたのが取れるくらいなので、おそらく下地のボードが持ち上がっているのでしょうw

2.排水が流れない(逆流する)

これは写真がありませんが、考えられるのは排水が二重マスになっている可能性はもちろん、勾配が取れていない可能性、工事中に排水の塩ビのパイプにゴミが詰まった可能性もあり、様々な理由が考えられます。

なんにせよ、キッチンの水が逆流するということは設備の工事技術が悪いのですが、これだけ設備を設置してしまった後ではどうしようもありません。
直す方法は解体するしかありませんので。

3.扉がきちんと閉まらずに隙間がある

これは壁の下地を起こす際に大工工事を失敗して、直角を壁の下地に出せていないんですね。
僕らの用語では、たちがでていない(床から垂直ではない)、右上の建具の枠の角度がカネ(90度)ではない。

こう言ったことを表現しています。
大工はこういった90度を作って工事をするのが基本ですが、設備屋さんでは全くお庭違いなので難しかったのかも知れません。

ちなみにですが、この家に僕が遊びにきたとしてこれだけ隙間があると、女性がお風呂に入っていると普通に中が見えますので、困ったものですね。

4建具にひび割れがあり、隙間がある

これは上記と同じカネが出ていない、下地が下手くそ、およびビスを打つ際に化粧枠に錐で下穴を開けずにビスを打ち込んだり、輸送中に商品を壊したなどが原因で建具が破損します。

もしくはこの傷を見る限り、右側の下地ができる前に右からビスを打ったのでは無いでしょうか?
まあ、ビスを打っても壁の下地が90度で下に真っ直ぐでは無いので、上の隙間が絶対に生まれるんですね。

5下地が突出しているため、クロスが収まらず捲れている

これもまた大工工事で失敗しています。
普通は扉の枠より下地が内側にあってクロスが木枠の上の内側にあるのが通常です。
単純に工事が分かっていないのか、素人なのかな?と僕は感じました。

クロス屋さんの腕自体は全体的に悪く無かったのですが、あまりにも大工のリフォーム工事が下手すぎるせいでせっかくのクロスも台無しでした。

6キッチンパネルが下から上へ埋まっている

個人的に驚いたのが、キッチンパネルが壁に上に行けば行くほど埋まっている点です。
こんな工事見たことがないので、なんとも言えないのですが、これは単純に壁が90度で真っ直ぐではないと言うことが原因です。

それにしてもキッチンパネルのコーナーがこんな感じで埋まっているなんて初めてみましたねw
ちなみにキッチンパネルのコーナーの役割は切った面が見えないようにして隠す役割があります。

7.玄関が内開きのため、靴箱から靴を出せないし、外に出にくい

これは設計の際にミスをした部分でしょう。
本来であれば、設計士が内装の図面を起こして、内開きの家であればどれくらいの広さがあるのか?
なければ玄関から外に出にくいなど計算するのですが、この家はおそらくリノベーション工事にも関わらず、設計が行われていません。

家から出ようとしても扉が玄関ギリギリまで内開きなので、外に出るのもマッチョな僕は苦労します。
というより、ファミリー物件のようなので子供がいたら抱っこした状態ではどうやって玄関の外に出るんだろう?という疑問も生まれました。

おそらくオーナーの予算では工務店が設計士に依頼することもできず、工務店も仕事が貰えればいい!と言う考えで、内開きで問題ないと考えたのでしょう。
と言うよりは、玄関の外の廊下が900mmほどしか横幅がないので、外開きは無理なので、玄関を広くするといった設計が必須でした。

玄関の広さは約900mmといったところで、狭いと感じたのが印象でした。
また、工事で使う予定の木材が廊下の共有部などではなく、玄関前に置きっぱなしにしてあるのを見て、業者の杜撰さや質が見えましたね。

ちなみに木材も僕らは見れば質はわかるのですが、一番等級の低い安いものを使っていましたね。

8.脱衣所やキッチンの床が沈む

これは写真を撮る意味がなかったので、説明すると床の下地が杜撰であったり、材料を節約して木下地が基準の幅(455ピッチや300ピッチ)で無かったり、ビスが少ない、もしくは床が水平にリノベーション工事ができていないので、水平では無いため下地のコンパネとの隙間が大きいのも理由かもしれません。

体重90kg近い僕が上に乗るとめちゃくちゃ沈みますからw

まあ、結論を言うと、このリノベーション工事は大工が工事をしていない素人工事でした。
そのため安くできるし、下手な仕上がりということですね。
ちなみに僕が行った、床の大工リフォーム工事は次の記事に書いてありますので、よければ参考にしてください。

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今後の居住者と大家さんの関係について

僕は奥さんとご主人および、その親族との関係性もあるため、穏便に終わらせようとするのでは無いかな?と考えていますが、すでにご主人は下記のように言っています。

こんな嘘だらけの物件は、家賃が最低でも6万円台ではないと住めない。
無理なら初期費用の返還を求めて引っ越しをするとのこと。

現在8万円台の家賃と駐車場代を払っている。
インターネットのソフトバンク光の工事の際もリノベーション工事をしたのにも関わらず、光コンセントの刺す場所がなく、工務店に聞いたところ分からないと誤魔化していた。

当然工事の派遣料は発生するので、それは大家さんに請求したようです。
諦めて工事設置いらずのソフトバンクAirを使っているようですね。
ちなみにですが、大家さんである不動産業者も投げやりで直接工務店と連絡をとってくれと言ったようです。
そんなこともあるんですね。w

貸主は不動産の業免をあげている不動産業者だった件

貸主はただの不動産投資家ではなく、どうやら業免をあげている業者だったようです。
僕には業免をあげておきながらこのような事態を招いた理由は分かりませんが、やはり工事は不動産屋さんでは現場の工事や実態が分からないようですね。

特に不動産投資、不動産業者、お客さんもそうですが、工務店や職人選びは本当に気をつけてください。
相見積もりはそうですが、関係性の無い安い業者には何か理由があります。
手を抜いた手抜き工事なのか?材料を減らしているのか?何かの理由は必ずあります。

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手抜き工事について詳しく書いた記事ですので、一度ご覧ください。

ちなみに腕の良い工事業者は、すでに安売りしなくても職人の数は減っているので、材料原価および日当は上がる一方なのです。
それらを踏まえて、工事の質が良い職人や工務店に対し、最初は投資と思って支払い、長期的にお付き合いする方が値段交渉などできると僕は考えています。

不動産家の工務店や職人の選び方について思うこと

当社も管理会社の友人繋がりで工事を依頼されることはありますが、正直言って不動産屋および不動産投資家の求めている工事内容や、金額は合わない部分が大きいのが本音です。
そのため、暇な時期以外は基本的に関係性の無い人の工事は断っています。

理由は、安さを求めるが故に工事の質が大きく落ちる。
他能工の職人でなければ安すぎる見積もりであったり、クライアントの求める工事内容が理解できないような工事が多いのが特徴です。

安く抑えたいのは僕も投資家の仲間なので分かりますが、あまりにも安いのを探しているというのが浅はかで見えてしまいます。
そのため、一見さんのお客さんは、僕も工事は断らせていただくことが稀にあります。

また近年、有名な投資物件や有名インフルエンサーの多いコンテンツ・記事を見ると他能工の職人を探しましょうという記事をよく見ます。
ですが、僕の工務店目線の感覚では他能工の職人は完璧では無いから、他能工だということを理解してほしいなと思います。

なぜなら僕も会社の代表をしながら、実は大工と水道や電気を触る他能工です。
しかし、本当に難しい現場は各専門職の師匠に連絡して助けてもらって、そして工事を覚えてきました。

何が言いたいか?というと他能工はお客さんにとって都合のいい分、欠点も多いということを忘れないでください。この件についてはかなり長くなるので、別の記事に書きたいと思います。

リフォーム39の記事を読んでいただきありがとうございました。
当サイトは”手抜き工事・悪質な訪問販売・違法建築”からお客さんを守るために、リフォームの教科書になることを目指しています。

工事依頼・質問・依頼・相談等があれば、気軽にお問い合わせからご連絡ください。
それでは時間を大切に良い一日を。

リフォーム39運営責任者 土井健史

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